「恋のページェント」鑑賞2015年08月21日 18:03

 1934年のアメリカ映画「恋のページェント」を鑑賞。

 エカチェリーナ2世が女帝となるまでの半生を描いた作品だが、歴史劇というより、やはり主演女優、マレーネ・ディートリッヒを見るための映画というべきだろう。

 少女時代から嫁ぐあたりまでは、正直かなり苦しい。若作りというより、無理して可愛らしく見せようと努力している(今や死語だが、まさに「ぶりっ子」)のだが、いかんせん、ディートリッヒ自身がそんな小娘ではない。「間諜X27」の時もノーメイクで田舎娘を演じて、みごとな化けっぷりだったが、今回は残念ながらうまく行っているとは言えない。ディートリッヒといえば百万ドルの脚線美だが、これが着替えシーンで披露されるのはお約束といったところか。

 しかし、結婚して愛人をもつようになってからは本領発揮。ふてぶてしく、タフで、凛々しいディートリッヒはさすがである。レース越しに見せる美貌など、まさに名シーンだろう。

 そして何よりもインパクトがあるのが、ロシア宮廷の造形。おどろおどろしいまでの造形と狭苦しい圧迫感には驚愕ものだ。

 当時のアメリカや、監督のスタインバーグのイメージだと、フランス革命前夜のロシアというのは、ああいうイメージだったのだろうと思うと、時代の差を感じる。

 ストーリーは…まあ、あまりとやかくいうのは野暮。ここはディートリッヒと1930年代のアメリカ人の帝政ロシア宮廷のイメージを楽しむのが王道。