JASRACのこと2017年02月03日 23:43

 JASRACが音楽教室からも演奏権を根拠に著作権料を徴収しようとしている。

 個人経営の小規模音楽教室は除外というが、その基準はどこかというと、かなり曖昧だろう。生徒数なのか、収入に応じてなのか。

 レッスンを受ける生徒がきちんと楽譜を購入してレッスンを受けていれば、少なくとも楽譜に課した著作権料は徴収できる。更にその上演奏権でも著作権料を取ろうというのは、考えようによれば二重課税とも取れなくもない。もっとも、国そのものがガソリン税を課したガソリン料金に消費税まで上乗せして、税収減はこまるからしょうがないだろうと開き直るのだから、そんなことはたいして気にしていないだろう。

 それほどまでに著作権料が減少している、平たく言えばソフトが売れないという現状があるのだろう。売れないからコストが上がる。収入が目減りしている庶民にはますます手が出ない。だからもっと売れない。悪循環だ。おまけに、現在の音楽業界のマーケット対象はどう考えても10代〜20代といった若年層。中高年はさほどマーケット対象となっているとは思えない。自分で金を稼いでいる層に売るものがさほどないというのでは、少子高齢化を迎え、先細りは当然のこと。

 ド演歌の享受層はどんどん高齢化していき、中高年は80年代の洋楽全盛期を知っているので耳が肥えている。こういう層にロングセラーの定番としてコンスタントに売れる曲を作ることがまず第一ではないか。音楽は使い捨ての消耗品となって久しい。それでは作る側を支える著作権の基盤になどなろうはずもない。

 音楽は、それを享受するものがいてはじめて広まる。享受するものを搾取するような音楽は、必ず廃れる。三方良しが壊れれば、商売も崩壊する。音楽教室から金を巻き上げて、果たして「世間よし」となるかどうか、疑問である。