「ジョン・ウィック」を観る2023年01月15日 14:30

 「ジョン・ウィック」を観る。2014年のアメリカ映画。 チャド・スタエルスキ、デヴィッド・リーチ監督、主演はキアヌ・リーブス。

 いい人オーラが溢れていて、それでいてどこか怪しげで繊細、そんなイメージが強いキアヌ・リーブス。ここでは伝説と化すほどの凄腕の殺し屋、ジョン・ウィックを演じている。これがまあ、まさに当たり役。本質的に繊細でいい人というイメージが、冒頭の、妻と結婚するために殺し屋を引退したが、最愛の妻を失い、その妻の最後の贈り物であった子犬を可愛がるシーンにぴったり。殺し屋としての殺気や狂気がこの時点で見えてしまうと、この作品の重要なポイントが消えてしまうが、実に見事。だからこそその後の復習の鬼としての殺し屋復帰や、その過剰なまでの殺しっぷりの残酷さを相殺して余りある。

 友人のスナイパーを演じるのはウィレム・デフォー。悪の匂いを漂わせながら、実は善人という、この人の定番のような役柄は、ここでもぴったりはまり役。

 ラストの敵も、自分のバカ息子の尻拭いのためにウィックと戦うハメになるわけで、単純な善悪二元論ではなく、愛情同士のぶつかりあいの悲劇としても、堅実なストーリーだ。

 アクション映画の現代におけるお手本のような作品。こむつかしい哲学や倫理で眺めるのはあまりに無粋。派手なアクションと殺陣、そしてほろ苦い痛みを楽しむべきだ。敵を倒してもどこか寂しく、虚しい、そういうところも懐かしいアクション映画の名リブート。