「セクシー地帯」を観る2023年01月27日 22:18

 「セクシー地帯」を観る。1961年、石井輝男監督。「地帯(ライン)」シリーズの4作目。

 天知茂は今回は登場しない。前作「黄線地帯」でヒロインの恋人役だった吉田輝雄が主役、相手役のヒロインはシリーズ皆勤賞の三原葉子。

 銀座のあの時計台を起点に起きる、今回もまた地下に潜った売春組織とのバトルなのだが、タイトルから想像するようなエロティックな場面は、今の目から見ればほぼゼロ。どちらかといえばライトでポップでおしゃれなアクション映画とでも言おうか。

 組織の怪しさやいかがわしさもソフィストケーとされて、どこか間抜け。主人公もおっとりで結局振り回されているだけ。罠にはめられているフォーマットはシリーズ共通だが、社会への怒りも恨みもない。

 むしろ女性が男たちを振り回しては災難にあい、またそれを切り抜けてたくましく生きている姿のほうが印象的だ。どんくさくて垢抜けなくて、いつまでもドロドロとした過去にこだわっている男に比べて、あっけらかんとたくましい女性たち。それも時代性かもしれない。というより、こんなおしゃれな作品が日本で制作できていたことが驚き。