オリンピックの快挙2018年02月17日 22:25

 冬季オリンピック通算1000個目の金メダルを、羽生選手が勝ち取った。なにはともあれ、素晴らしいことだ。

 フィギュアで使われた演奏曲は「晴明」、和楽器と和音階が印象的なこの曲は、映画「陰陽師」のテーマである。羽生選手にとっては馴染みの曲。そしてコスチュームは平安貴族の平服であり、いまでも神職が身に付ける狩衣をイメージしたもの。どちらも平安時代に由来する。

 タイトルの「晴明」とは、安倍晴明のこと。陰陽師として一条天皇や藤原道長の信頼を集めたというから、ちょうど「枕草子」や「源氏物語」がリアルタイムで生まれていた頃のこと。一条天皇の先代、花山天皇の退位時に、その退位を予見し、式神に物見に行かせたという説話もある。

 映画「陰陽師」は夢枕獏の小説の映画化作品だ。この映画で安倍晴明を演じたのは野村萬斎。言わずとしれた第一人者の狂言師である。そう言えば、「シン・ゴジラ」の「中の人」もまた、野村萬斎その人だ。

 羽生選手の演じた作品は、考えてみれば以上のように、日本の文化の集大成のようなものをしっかりと引き継いでいる。そして羽生選手の競技中の夜叉のような厳しい表情と殺気とも取れそうな気迫は、日本人の代名詞的キャラクターである「サムライ」を連想させる。

 いわば日本文化による総力戦。これに世界は感動し、賞賛を与えたと言っていいだろう。金でも武力でもなく、文化で世界の賞賛を受ける、これほど日本と日本人にとって、嬉しいことがあるだろうか。

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