「ブルース・ブラザース」を観る2018年07月24日 23:58

 「ブルース・ブラザース」を観る。

 これもなかなか縁がなかった映画の一本。やっと観ることができた。

 今は亡き役者やミュージシャンが多いこと。今見るとトリビュート映画のような感がある。主役のジョン・ベルーシ。過激な謎の女を演じたキャリー・フィッシャー。プロテスタントの牧師で歌いまくったジェームズ・ブラウン。目の不自由な楽器店の店主、レイ・チャールズ。ダン・エイクロイドも「ゴースト・バスターズ」のぽっちゃり体型ではなく、スリムだ。もっともこれはドラッグの影響もあったのかもしれない。ベルーシ、フィッシャー、エイクロイドは当時ドラッグ仲間だったそうだし、ベルーシはそれがもとで急死。フィッシャーも薬物から逃れるのにそれはそれは苦しんだ。

 全編ブルース(ちょっぴりカントリー&ウェスタンもあるが)とロックンロール。黒ずくめのブルース兄弟のスタイルは、後のMIBや「マトリックス」のエージェント・スミスにも通ずる。そして、ただ一度、ベルーシがサングラスを外す。その時のなんとも純真無垢な目。

 それにしても、ブルース兄弟が乗る、払い下げのパトカーを追いかけるパトカーの群れ、群れ、群れ。カーチェイスのド派手なこと。あそこまで行くと、街を破壊しているのはブルース兄弟なのか、それとも追跡している警察なのか、もうグチャグチャだ。ナンセンスな破壊が、あそこまで行くと爽快に感じてしまう。

 世話になった孤児院が5000ドルの固定資産税を請求され、立ち退きの危機に晒される。それを知った出所間もないブルース兄は、弟とかつてのバンド仲間を集めてバンドを再結成、その収益でなんとか納税しようとする。一夜限りのコンサートも、そこでひょんなことから手に入る金も、その物自体は合法的だが、そこに至るまでのドタバタが警察沙汰になる。おまけにネオナチやカントリーバンドも加わり、収拾のつかない事態へ。だが彼らのパフォーマンスは観客の喝采を集める。警察に包囲されたコンサート会場から抜け出し、納税にまっしぐらの兄弟を追いかける警察。なんとも皮肉な構図だ。

 そして…そんなところで何をしている?スティーブン・スピルバーグ!

 権力を嫌い、ファシズムを嫌い、音楽を愛し、心のどこかで神を信じている。そういう凛としたヒューマニズムがないと、このようなピカレスク・コメディは成立しない。いまのこの国では、こういうコメディはもう求められないのだろうか、それとも多くの人が求めているのだろうか。

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