「トレインスポッティング」を観る ― 2018年08月06日 21:46
「トレインスポッティング」を観る。
なんとも救いのない映画だ。ディックの「スキャナー・ダークリー」だって、最後の麻薬供給元のオチで若干救いもなくはないが、この話にはそんな甘い救いなどどこにもない。
ドラッグ中毒、でたらめな生活、ドラッグをやめようと思い立っても、それをはじめるまでのつなぎのドラッグが欲しくてたまらない。泥沼である。現実は薄汚れ、貧相で、どん底なのに、ドラッグを透かして見た世界は不思議な美しさを持っている。だが、それもひととき、戻った現実は最下層。
友達の秘蔵エロビデオをくすね、それを見たあとナンパしてできた彼女はなんと未成年。イギリス(というかアイルランド)ではこれは犯罪。ドラッグ中毒の男がそれにビビるというのも、なんとも皮肉。
エロビデオをくすねたのが原因で、友達が彼女と破局。やけになった友達にドラッグを教えこむと、友達は一気に中毒に、そしてAIDSに感染し、死んでしまう。ドラッグ中毒の仲間の産んだ赤ん坊も、全員ラリって育児放棄したため、死んでしまう。荒れて万引きすると、一緒に万引きした友達は実刑なのに、たまたまドラッグ断ちに取り組んでいたため執行猶予。
主人公はなんともバツの悪い境遇におかれる。
ドラッグ断ちの禁断症状の描写もすごい。これみよがしなサイケデリックな世界ではなく、遠近法を歪める程度。それでも恐怖は伝わってくる。
真面目になろうとロンドンで不動産業に就職するが、これがかなり悪徳業者。そして、ドラッグ中毒仲間にまた引き戻されてしまう。そして再びドラッグ。この時の遠近法の崩壊と視野狭窄の描写がうまい。
ラストシーンも慄然とする。モノローグを真に受ければ、なんとも甘いラストだが、もちろん真に受けてはいけない。
シリアスにやれば、どうしようもなく暗いのに、音楽と演出の妙で、どことなくおかしみのある作品になっている。だが、決して信賞必罰や善への志向などといいうものはない。リアルに、淡々と、当時のイギリス・アイルランド社会の底辺を切り取った作品と見るべきだろう。誰が悪いわけでも、誰がいいわけでもない。ただ、そこにある世界を見せる、そういう作品。
ファッション的に捉えられている向きもある作品だが、その内容はずしりと重い。好き嫌いがでる作品だろう。だが、得てしてそういう作品は尖っていて、力があることが多い。この作品も力がある。
なんとも救いのない映画だ。ディックの「スキャナー・ダークリー」だって、最後の麻薬供給元のオチで若干救いもなくはないが、この話にはそんな甘い救いなどどこにもない。
ドラッグ中毒、でたらめな生活、ドラッグをやめようと思い立っても、それをはじめるまでのつなぎのドラッグが欲しくてたまらない。泥沼である。現実は薄汚れ、貧相で、どん底なのに、ドラッグを透かして見た世界は不思議な美しさを持っている。だが、それもひととき、戻った現実は最下層。
友達の秘蔵エロビデオをくすね、それを見たあとナンパしてできた彼女はなんと未成年。イギリス(というかアイルランド)ではこれは犯罪。ドラッグ中毒の男がそれにビビるというのも、なんとも皮肉。
エロビデオをくすねたのが原因で、友達が彼女と破局。やけになった友達にドラッグを教えこむと、友達は一気に中毒に、そしてAIDSに感染し、死んでしまう。ドラッグ中毒の仲間の産んだ赤ん坊も、全員ラリって育児放棄したため、死んでしまう。荒れて万引きすると、一緒に万引きした友達は実刑なのに、たまたまドラッグ断ちに取り組んでいたため執行猶予。
主人公はなんともバツの悪い境遇におかれる。
ドラッグ断ちの禁断症状の描写もすごい。これみよがしなサイケデリックな世界ではなく、遠近法を歪める程度。それでも恐怖は伝わってくる。
真面目になろうとロンドンで不動産業に就職するが、これがかなり悪徳業者。そして、ドラッグ中毒仲間にまた引き戻されてしまう。そして再びドラッグ。この時の遠近法の崩壊と視野狭窄の描写がうまい。
ラストシーンも慄然とする。モノローグを真に受ければ、なんとも甘いラストだが、もちろん真に受けてはいけない。
シリアスにやれば、どうしようもなく暗いのに、音楽と演出の妙で、どことなくおかしみのある作品になっている。だが、決して信賞必罰や善への志向などといいうものはない。リアルに、淡々と、当時のイギリス・アイルランド社会の底辺を切り取った作品と見るべきだろう。誰が悪いわけでも、誰がいいわけでもない。ただ、そこにある世界を見せる、そういう作品。
ファッション的に捉えられている向きもある作品だが、その内容はずしりと重い。好き嫌いがでる作品だろう。だが、得てしてそういう作品は尖っていて、力があることが多い。この作品も力がある。
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