賃上げ2023年03月15日 21:36

 賃上げの春になりそうだ。

 ベアが7000円/月などという回答もあったようだ。そんなに給料増額ができるとは、大企業も随分と金を溜め込んでいたものだ。

 不景気で経営が苦しい企業に対して、労働者側も忖度した結果、国民の多くは鉄道のストライキなどというものとはとんと無縁の生活をしてきた。学校でもストライキはあったなどと聞くと、驚いて目玉が顔から転げ落ちそうになる子供も多いだろう。

 ところが、その忖度がいつの間にかコストカット=人件費カット=給与上昇カット=購買力低下=不景気と、負の循環に陥ってしまった。溜め込んだのは大企業。イノベーションの資金と称して溜め込んだくせに、近隣諸国に引っこ抜かれてしまったのでは、何のための内部留保だったのかと問われても仕方あるまい。産学共同と称して近視眼的な儲けに振り切った研究ばかりに血道を上げさせた結果、IT系人材の枯渇まで引き起こしてしまった。ふんだりけったりなのは労働者だ。

 不景気の時のケチケチを、好景気のときにも続けて太った大企業。その金は中小企業や社員の金を巻き上げて作ったもの。物が売れないのではなく、作ったものを買えるほどの金を供給しなかったのが不景気の原因だ。

 もっともそれで安定して生活ができるのなら問題はない。最大の問題は、国民の誰もが明日の、未来の生活に安心できないという点だ。子供は教育資金をむしられ、若者は奨学金の返済に追い立てられ、大人は子供の教育費用を搾り取られ、あるいは家族を持つという選択を奪われ、老人は老後の経済生活の不安を抱え込んでいる。ありもしない、増えもしなかった給料を争って貪った結果、国民の支出能力を遥かに超えた商品で客を奪い合い、首を絞めあっているようだ。

 資本主義=お金が一番というパラダイム、やはり賞味期限が切れてしまっているのだろうか。豊かになっても国民が不安では、何のための「経世済民」かわからない。