春の日に2020年03月31日 23:08

 花は笑い、草木は萌え、人は泣き、町は風の中。

 この一月で世界が変わってしまった。

 それでも花は、草木は、自然は、去年と変わらない営みを続けている。結局変わったのは人の世だけだ。

 人が作り上げた社会が、自然の前ではいかに児戯に等しいものか、思い知らされた今月だった。しかし、そんなものが永続すると思い込んでいた愚かしさは、先人たちが何度も書き記し、言い伝えたことではなかったか。

 人は一度安住した社会からはなかなか離れたがらない。そんな保守的な性向が、こんな事態なのに夜の街に繰り出す無謀にもつながっている。そんな生活など、いとも簡単に自然の営みの前では吹き飛んでしまうというのに。災害の多いこの国に生きる我々が、性根に入れていなかった自然の怖さを思い知らされる。

 これから、変わってしまった社会をどう乗り切っていくか。苦難の始まりだ。