SACD、まだいたのか2023年03月16日 22:03

 SACDというものがある。要はDSDにコテコテの著作権ガードを掛けた音楽メディアのことだと思えばよい。

 ごく特殊な機器の特殊な条件でない限り、デジタルデータを取り出せないので、専用プレーヤーのアナログ出力の音しか提供されない。そして専用プレーヤーは高額。販売店は「お手頃なSACDプレーヤーはそれなりの音しかしない」と、高額商品ばかり売ろうとする(実際そうなのかもしれない)。当然、PCでは再生不能。

 そのうちSACDの著作権ガードなしのデータ方式であるDSDが流通するようになった。ハイレゾ配信音源の一種である。PCやスマホでの再生が可能、USB-DACを使えば高音質化が図れるし、好みの音に仕立てることもできる。Volumioを使って再生も可能。そしてVolumioは(Raspberry piの価格上昇分を考えても)圧倒的にSACDプレーヤーより安く、音質に引けは取らない。

 最近、廃盤となったCDを復刻するときに、SACDとのハイブリッド盤CDとして販売されることがある。リマスタリングしましたとかなんとか言っているが、はっきり言ってSACD層は不要。ただのリマスタリングCDで十分だ。どうせSACDプレーヤーなど持ってもいないし、未来のない機械に高い金を払うほど給料はもらっていない。どうしてもハイレゾ音源を販売したいなら、DSDのほうがよほどいい。もっともそうすれば、デジタルコピーが流布して収益が上がらないというのだろう。

 だが、普及の見込みもなく、将来性もほぼ皆無となったフォーマットにしがみつくのは愚の骨頂としか思えない。すでにSACDはその価格に見合った性能を持ち得ない。残念ながら、アナログプレーヤーほどの付加価値すらない。ITと同じで、音楽メディアも日本の一人負けになるのだろうか。かつてオーディオ売り場の主のような高齢店員が「FLACなんていうどこの馬の骨が作ったかわからないフォーマットなんか当てにならない。これからは大企業SONYが提唱したSACDの時代だ」と豪語していたことを思い出す。FLACは今やハイレゾの一方のデファクトスタンダードだ。かたやSONYは今やポータブルオーディオに振り切って、SACDからは事実上撤退。かつてのライバルTechnicsがSACDプレーヤー機能付き製品を出すという逆転現象まで起きている。これとてSACD専用プレーヤーではなく、ハイレゾ音源に全包囲対応しているだけのこと。

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