「山田全自動の日本文学でござる」を読む2022年03月04日 20:55

 「山田全自動の日本文学でござる」を読む。

 落語や浮世絵風の「あるある」ひとコマで人気の山田全自動が日本文学を題材とした本を出した。

 浮世絵風はやや影を潜めたが、「東海道中膝栗毛」や「曽根崎心中」をはじめとして、渋いところでは山川方夫の「夏の葬列」なんていう作品まで登場する。

 太宰は「人間失格」「斜陽」の2作。梶井基次郎の「檸檬」もなかなか秀逸。原作のツボはきちんと押さえ、現代人的な感覚の表現や突っ込みもさり気なく折り込みながら、きれいにまとめている。そこここに原作に対する愛情を感じるので、今どきのギャグにつきものの軽薄さや予定調和的ボケもない。

 各作品のあとに置かれたコラムも面白い。浅からず、深からず、絶妙の立ち位置で描かれた山田全自動流日本文学、面白い。

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