「私はあなたのニグロではない」を観る ― 2023年03月05日 20:35
「私はあなたのニグロではない」を観る。2016年のアメリカのドキュメンタリー映画。作品にも登場するアメリカの黒人作家、ジェイムズ・ボールドウィンの未完の原稿をもとに、ラウル・ペック監督が制作した作品。
公民権運動のうねりの中で、ボールドウィンの友人だったマルコム・X、マーティン・ルーサー・キング、メドガー・エバースの三人についての回想が語られる。三人とも暗殺され、ボールドウィンはその知らせを聞き、怒り、失望する。
作中、ボールドウィンがTVのインタビューで語る話は衝撃的だ。アメリカでは黒人であるだけですでに生命の危険がつきまとう。嘘だと思うなら警官の顔を見ればいいと彼は言う。ヨーロッパでは少なくとも黒人であることは生命の危険を意味しないとも。黒人ジャズミュージシャンが多くヨーロッパに拠点を移し、そこでのびのびと活動し、それがヨーロッパへのジャズの浸透につながったのだが、彼らがヨーロッパに向かったのはただ単に活動しやすかったからではなく、こういう背景があったのかもしれない。日本人ジャズピアニストがコロナ禍でのアジア系差別の結果、アメリカで襲われ、再起を危ぶまれるほどの大怪我を負わされた事件も頭をよぎる。
黒人を扱った映画についてもなかなか辛辣。だが、「夜の大捜査線」のラストシーンで、白人と黒人が互いに「受容」したという発言は一筋の光明かもしれない。
ボールドウィンは1987年にパリで死去。もちろんBLMも知らない。35年後のアメリカは、いまだにボールドウィンの指摘した、「黒人であるだけで生命の危険にさらされる」現状から変わりきっていない。そして世界もまた同様だ。「受容」がどうして出来ないものか。互いに学び合うことがそんなに難しいことなのか。
公民権運動のうねりの中で、ボールドウィンの友人だったマルコム・X、マーティン・ルーサー・キング、メドガー・エバースの三人についての回想が語られる。三人とも暗殺され、ボールドウィンはその知らせを聞き、怒り、失望する。
作中、ボールドウィンがTVのインタビューで語る話は衝撃的だ。アメリカでは黒人であるだけですでに生命の危険がつきまとう。嘘だと思うなら警官の顔を見ればいいと彼は言う。ヨーロッパでは少なくとも黒人であることは生命の危険を意味しないとも。黒人ジャズミュージシャンが多くヨーロッパに拠点を移し、そこでのびのびと活動し、それがヨーロッパへのジャズの浸透につながったのだが、彼らがヨーロッパに向かったのはただ単に活動しやすかったからではなく、こういう背景があったのかもしれない。日本人ジャズピアニストがコロナ禍でのアジア系差別の結果、アメリカで襲われ、再起を危ぶまれるほどの大怪我を負わされた事件も頭をよぎる。
黒人を扱った映画についてもなかなか辛辣。だが、「夜の大捜査線」のラストシーンで、白人と黒人が互いに「受容」したという発言は一筋の光明かもしれない。
ボールドウィンは1987年にパリで死去。もちろんBLMも知らない。35年後のアメリカは、いまだにボールドウィンの指摘した、「黒人であるだけで生命の危険にさらされる」現状から変わりきっていない。そして世界もまた同様だ。「受容」がどうして出来ないものか。互いに学び合うことがそんなに難しいことなのか。
最近のコメント