春分の日2023年03月21日 20:20

 春分の日だ。春の彼岸の中日でもある。

 昭和の頃なら墓参りというところだろうが、現代ではそんなゆとりのない人も多いだろう。コロナ禍で墓参りもままならなくなってしまった人もいるのではないだろうか。

 墓石が一般的になったのは実はつい最近のこと。それまでは木製の墓標か板の墓標が一般的だった。当然長持ちしない。だからいつまでも墓のお守りを考える必要もなかった。

 日本の仏教が農村人口の流出を食い止めるための手段として使われていた時代の名残りとしての宗教行事も多い。第一、日本の仏教ではご先祖様は墓にいたり、家庭の仏壇にいたり、位牌にいたりと、いきあたりばったりの解釈がされている。元来日本社会には祖先信仰はあっても宗教は定着していないというのは、このあたりにも原因がありそうだ。

 彼岸であろうとなかろうと、盂蘭盆であろうとなかろうと、祖先は日頃から心に思い、形に限らず心の中で感謝すれば良いことだろう。行事を契機として祖先を思い出すのは悪いことではないが、行事のほうが優先されてしまい、人の生活を圧迫するようなことになれば本末転倒だ。

 ぼたもちを食べながら、そういう時期だったなと先祖を思う。それだけで十分だと思う。