高校野球と熱中症2023年08月07日 21:19

 以前にも記したとおり、高校野球は死ぬほど嫌いだ。

 このクソ暑い中、アラートまで出ている炎天下で、日陰すらないむき出しの場所で駆けずり回っていては、まともに過ごせるはずもない。それに耐える体を鍛えるのが野球というのなら、その果てにはなにが期待されているのだろうか。炎天下のジャングルを延々と装備を持って行進させでもしたいのか。根性だ、鍛錬だと言い募る連中の妄想たるや、恐ろしい。

 選手が熱中症の症状を起こすのは当たり前だ。起こさないほうがよほど幸運。生命に関わらなかったのはそれこそ奇跡だ。選手ならダウンしても注目を集めるが、スタンドの観客に至ってはおそらく数にも数えないのだろう。「愛校心」だのなんだのをダシに引きずり出される生徒やブラスバンド、応援団やチアリーディングの生徒にとっては災難以外の何物でもない。現実は人間の妄想を遥かに上回るのだ。「根性」だの「鍛錬」だのという妄想など、自然は鼻で笑っている。自然にとって人間は栄えようが滅びようがお構いなしだ。人間は妄想に憑かれて勝手に自滅の道を走ってしまう。

 一番かんたんな解決法は、熱中症アラートが出たら、試合は中止、大会そのものも中止とすることだ。甲子園を目指して頑張った生徒が可愛そうだなどとふざけたことを言ってはいけない。生き延びてこその教育だろう。若者を生かすのは大人の責任だ。自然の前では人間は無力。スポーツだろうが何だろうが、自然の驚異には勝てない。それを教えるのも大切な教育だろう。悔しかろうが、泣こうが、自然に対する人間の力には限界があり、自然は人間にとって理不尽な存在なのだということを教えるべきだろう。

 それが教え込まれていないからこそ、自然をナメたスポーツ指導がまかり通る。その結果失われた命がどれほどあるか。失われた健康や人生がどれほどあるか。現実を直視する能力のない妄想に囚われたシステムである以上、私はスポーツ界を一切信用できない。