自分たちが一番えらい?2023年08月15日 16:05

 自分が、自分たちが、自分たちの属する集団が、土地が、国が、一番えらい。

 そう思いたい気持ちはわからないでもない。「我が家が一番」「故郷が一番」と、自分の出自や生活の起点を「安らぎ」の根源と考えるなら、それはそれで構わないとも思う。

 だが、それが無批判なプライドに直結すると問題は一気に大きくなる。「わが校は素晴らしい先輩に恵まれた名門校だ」「わが町は、立派な人物を送り出した土地だ」云々。立派な先輩がもれなく母校にベタぼれしていたという保証はない。むしろ毛嫌いしているケースも少なくない。立派な人物もまた同様。自分の故郷を蛇蝎のごとく嫌う作家は少なくない。なのにそういう有名人の出身地であることをPRの材料にしている土地も多い。笑止千万だ。これらのプライドは、それを支える根拠となるアイコンに依存しているが、そのアイコンの属性に関しては人々は無知、あるいは単なる妄想にすぎないものも多い。だからプライドと言っても吹けば飛ぶような薄っぺらいものにすぎない。自分自身が土台となっていないのだから致し方ない。

 さあ、わが校、わが町とくれば、次に来るのは「わが国」だ。妄想とそれに立脚した薄っぺらいプライドが、どれほどの人を死に追いやり、心とからだを傷つけたか。妄想に溺れ、薄っぺらいプライドを絶対視する程度の知性には、それを想像し、痛みを共有するほどの能力もないだろう。

 無自覚にカスハラに走る人々、欧米人にヘコヘコしながらアジア人には横柄な態度を取る連中、能力もないのに地位にしがみついてパワハラ以外に保身の方法すら知らない社会人、時代遅れの栄光という妄想にへばりついて他国を破壊する為政者…かつての轍をまた世界は踏んでしまうのかと思うと、ゾッとする。

 今日、敗戦の日。